2019年に公開されたすみっコぐらしの映画、「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」。観てからもう3年が経つのですが、今でもときどき思い出すシーンがあります。
この映画、絵本に吸い込まれてしまったすみっコたちが、童話の中でドタバタしたり、ステキな出会いがあったり、という物語なのですが、桃太郎役になった「ねこ」が、きびだんごで仲間になったイヌ、サル、キジとともに鬼ヶ島に行くんです。そこで鬼と遭遇するのですが、鬼のお腹が「ぐ~~」と鳴ったため、ねこが鬼にもきびだんごをあげて仲良くなるんです。
なんてイイ話なんだ。
なんて優しいお話なんだ。
こうやってみんな仲良くなるべきなんだ。
私はそう思いました。
でも、この場合、たまたま鬼が良いヤツだったから良かったんですよ。悪いことをする鬼は、鬼滅の刃のように成敗しないといけません。
あれ?
ここまで考えてふと思いました。
「桃太郎に出てくる鬼ヶ島の鬼はいったい何をしたんだ?!」
いやぁ、童話なんて小さい頃に読んだだけだからすっかり忘れてしまった。この際だから調べてみよう、と、いろいろ調べてみたのですが、とんでもないことに気がつきました。
「桃太郎」のストーリーは時代や地方によって様々なのですが、さかのぼっていくと江戸時代の桃太郎には、
鬼ヶ島の鬼が悪さをした記述がない
のです!
え?
これヤバくね?!
桃太郎は、わざわざ鬼ヶ島に行って、何も悪いことしていない鬼を成敗し、挙げ句の果てに宝物を持ち帰ってきたんですよ?
それって、強盗じゃないです??
そもそも、この「桃太郎」という童話の起源は、まだよく分かっていないらしく、「諸説あり」という感じです。イソップ童話でもグリム童話でもアンデルセン童話でもないのです。(当たり前)
近年の桃太郎では、
「鬼が村の宝物を奪っていった」
「鬼がいつも村に来て悪さをしている」
というような記述があるのですが、それは明治時代以降に後付けされた伏線らしいです。確かに何もしていない鬼を退治して宝物を持ってくるなんて、子供の教育に良くないですから、当時の大人たちが勝手に改変したんでしょうね。
いろいろ思い返してみると、日本の昔話って、残酷だったり理不尽だったりするものが多々あるので(かちかち山とか)、現代の人が読んで「なんでやねん」という感じでもおかしくはないですよね。
どうなってるんだ昔の人の倫理観。
いやもう、これからはこの「すみっコぐらしの桃太郎」で良いですよね。
『桃太郎が、きびだんごでイヌ、サル、キジを仲良くなって鬼ヶ島に探検に行く。そこで出会った鬼は最初は怖かったけど、話してみるとイイヤツだった。』
これでいいじゃないですか。
余談ですが、昔の桃太郎の物語の中は、桃太郎が桃から生まれたのじゃなくて、川で拾った桃をお爺さんとお婆さんが食べたら何故か若返り、子作りをして生まれたのが桃太郎、というものがあるらしいです。
うん。これ、本筋のような気がします。桃から子供が出てくるなんて、発想がオカシイですもん。そして、あとで改変する理由も解りますよね(笑)
奥が深いな、昔話!